今回は、抗不安薬といわれる精神科の薬についてお話したいと思います。
睡眠導入剤や抗不安薬のなかでもとりわけ有名な、依存性を呈する薬剤の種類は以下の二つです。
- バルビツール酸系
- ベンゾジアゼピン系
バルビツール酸系
フェノバール(フェノバルビタール)、イソミタール(アモバルビタール)、ラボナ(ペントバルビタール)などの薬がこれに該当します。現在では体への負担や依存性のために睡眠薬として使用されることは原則控える必要があると考えられており、仮に使用されたとしても一時的、もしくはてんかんがコントロール不良の方が該当することがあります。すくなくとも不眠の患者さんで新規でこれらの薬を処方されることはほとんどないと考えられ、可能であれば他剤への変薬をおすすめしています。
ベンゾジアゼピン系
種類がたくさんありますが、当地域でよく使用されているベンゾジアゼピン系を以下に挙げます。
主なベンゾジアゼピン系抗不安薬の分類
分類 | 一般名 | 商品名 |
---|---|---|
短時間型 (半減期3~6時間) | クロチアゼパム エチゾラム フルタゾラム | リーゼ デパス コレミナール |
中時間型 (半減期12~20時間) | ロラゼパム アルプラゾラム ブロマゼパム | ワイパックス コンスタン、ソラナックス レキソタン、セニラン |
長時間型 (半減期20~100時間) | フルジアゼパム クロキサゾラム ジアゼパム クロナゼパム クロルジアゼポキシド メキサゾラム | エリスパン セパゾン セルシン、ホリゾン リボトリール、ランドセン コントール、バランス メレックス |
超長時間型 (半減期100時間以上) | ロフラゼプ酸エチル プラゼパム フルトプラゼパム | メイラックス セダプラン レスタス |
主なベンゾジアゼピン系睡眠薬の分類
分類 | 一般名 | 商品名 |
---|---|---|
超短時間作用型 (半減期2~4時間) | トリアゾラム | ハルシオン |
短時間作用型 (半減期6~12時間) | ブロチゾラム ロルメタゼパム リルマザホン | レンドルミン エバミール リスミー |
中間作用型 (半減期12~24時間) | フルニトラゼパム エスタゾラム ニトラゼパム | サイレース エスタゾラム ベンザリン、ネルボン |
長時間作用型 (半減期24時間以上) | クアゼパム ハロキサゾラム フルラゼパム | ドラール ソメリン ダルメート |
その他、依存性を認め、終了としにくい薬剤にゾルピデム(商品名:マイスリー)があります。
いずれもバルビツール酸系と比べて安全性は高いとされています。しかし、依存性を認め、急に薬剤を中止すると離脱症状と呼ばれる副作用を生じ、なかなか薬をやめることができません。また、使えば使うほど耐性を生じやすく、長期連用や高用量での内服は望ましくないです。現在は、睡眠についてはこれらの薬に頼らず、依存性がほとんどない他の薬剤で処方調整をするケースがほとんどです。お気軽にご相談ください。
また、抗不安薬については、病状によっては必要な方が一定数いらっしゃいます。処方の際はメリットとデメリットを天秤にかけ、患者さんとときに相談しながら治療方針をしっかり建て、できるだけ安全な運用をするよう心がけています。
私は精神科の薬剤の整理の経験が豊富であると自負しております。 ”現在諸所の症状のために処方薬が大量に出てしまっている”というようなことでお困りの方がいらっしゃれば是非ご相談ください。