誰もいない部屋なのに声が聞こえる、といった症状についてご案内いたします。
まずこの症状を見分ける際に最も重要なことは「幻聴」なのか、「錯聴」なのか、ということです。
幻聴:誰もいないのに人の声が聞こえてくるとか物の音がするといった、実際には存在しない音が聞こえる症状のこと。
錯聴:音や外部の刺激に対して誤った知覚を得てしまう現象。耳で起きる、目の錯覚に相当するもののこと。
以上を踏まえたうえで、それぞれについて記します。
幻聴
幻聴を生じる疾患として最も有名なものは統合失調症といわれる病気です。ただ、幻聴=統合失調症というわけではなく、想定しうる疾患は概ね以下が挙げられます
- 統合失調症
- うつ病
- 双極性障害(躁うつ病)
- せん妄
- 認知症
- アルコール症
- 物質(違法薬物)使用障害
- PTSD(心的外傷後ストレス障害)
錯聴
いわゆる錯覚の一つとなります。いわゆる空耳となりますが、病的な水準となると生活に支障をきたします。想定しうる疾患は概ね以下が挙げられます
- 「幻聴」の項で挙げた疾患すべて
- 発達障害
- 知的障害
幻聴なのか、錯聴なのかということは病気の程度、病気の種類などを知るうえで大変重要な情報ですが、患者さん本人では自分の状態を評価できないことが多いため、できれば普段一緒に生活されている方が少なくとも初診時に来院されたり、手紙を主治医にお渡しして頂けると診療の精度が格段に上がります。もしご来院の際は同居者の方にご協力いただけると大変助かります。